女性相談外来

ご相談内容

 産婦人科の病気ではないかとご心配な方、ご家族や友人にはなかなか話すことができず、まだ産婦人科を受診していない方、産婦人科の診断や現在の治療でお悩みの方は、産婦人科 片渕秀隆医師(特別顧問)による「女性相談外来」にご相談下さい。時間をかけてお話を伺い、診断に必要な検査や治療方針についてご説明し、必要に応じて院内・院外の各診療科を紹介し、また通院中の医療機関と連携して診療にあたります。

 女性は妊娠・出産以外でも、12歳頃に迎える初経(初潮)、月経(生理)のある成熟期、やがて卵巣から分泌されるホルモンが大きく変動しながら徐々に減少する更年期、平均50.5歳で迎える閉経など、女性ホルモンのダイナミックな変化の中で日常生活を送っています。閉経後約40年の老年期を含めて、勉強、仕事、家事、育児、介護や様々な社会生活に関わり、その忙しさの中でご自分の体の変調や不調を先送りにすることが多くないでしょうか。また、受診なさってもご自分の不安や疑問を解消するのに十分な時間が確保できない方もいらっしゃるかもしれません。女性の一生の中で、産婦人科は「思春期の異常」「月経の異常」「不妊」「妊娠中の異常」「出産や産後の異常」「子宮や卵巣の腫瘍」「更年期の異常」「老年期の異常」など様々な問題に対応しています。患者さんが、治療の方法などをお選びいただく際の一助になればと思い、『女性相談外来』を開設しています。

【産婦人科のなにかの症状でお悩みの場合】
  • いつもと違う帯下(おりもの)や不正性器出血(月経以外の出血)
  • 下腹部の痛みや張り、しこり
  • 月経(生理)の異常:無月経(18歳を過ぎても生理がない)、生理痛、生理不順、出血が多い・長い
  • 妊娠の診断・初期症状の不安
  • 不妊症(結婚して1年経っても希望するのに妊娠しない)・不育症(妊娠するが、死産や流産をくりかえす)
  • 更年期(40代~50代)の生理不順、更年期症状、尿漏れ
  • 閉経後の症状:帯下、出血、下腹部痛、子宮脱(子宮が降りてくる感じ)、頻回の尿意・尿漏れ
  • 20歳を過ぎてまだ婦人科がん検診を受けていない。または前回婦人科がん検診から2年以上経過している。
  • その他 産婦人科のことについて何でもご相談ください。
【産婦人科の診断や現在の治療でお悩みの場合】
  • 婦人科がん検診(住民検診・職場検診など)後の2次検診(精密検査)
  • 婦人科がん(子宮頸がん、体がん、卵巣がんなど)の診断や治療での悩み
  • 婦人科がんの治療(手術、化学療法・分子標的治療、免疫療法、放射線治療)
  • 婦人科で受けた生検標本や手術標本の病理組織(顕微鏡)診断
  • 妊娠の初期診断(異所性妊娠や胞状奇胎など)
  • 子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症(チョコレート嚢胞)
  • 不妊症、不育症
  • 更年期障害
  • 子宮脱
  • HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の接種
  • その他 心配なことは何でもご相談ください。

病気の詳しくはこちらをご覧ください

  • 月経が数か月に1回程度しかない(月経不順、希発月経) ホルモン検査(卵巣や下垂体ホルモン、甲状腺ホルモンなど)とMRI(放射線被曝のない磁気共鳴画像検査)を行い、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)と診断されることがあります。PCOの場合、年齢や妊娠希望の有無により治療方針は違いますが、ホルモン治療で定期的に月経を起こす方法をまず選択します。
  • 順調であった月経がなくなった(続発性無月経) 急激な環境の変化やダイエットなどにより体重が急に減少した頃から無月経となる場合、体重減少性無月経が考えられることがあります。この診断では、検査で他の病気がなく、骨塩量の低下がないことを確認したうえで、まずは体重の回復を目指します。
  • 子宮頸癌の前段階と診断された 子宮頸部高度異形成(CIN3)の治療には、レーザー蒸散術や子宮頸部円錐切除術がありますが、将来の妊娠希望の有無や、病変の広がりなどによって治療方法を選びます。妊娠希望のある方では、再発の防止と妊娠する力を極力落とさないように配慮します。
  • 持病があるが、妊娠とともに子宮頸部の異形成と診断された 合併症のある妊娠では、正常妊娠であることをまず確認し、周産期と婦人科腫瘍の両方の専門医(日本周産期・新生児学会認定日本婦人科腫瘍学会認定)のいる総合病院に紹介します。
  • 妊娠希望はあるが、月経痛と骨盤痛で悩んでいる 35歳を過ぎると自然妊娠する力は低くなってきます。子宮腺筋症子宮内膜症の診断がついた場合、なるべく早く手術を受け不妊治療を始めていただく必要があると判断した場合、専門医(日本生殖医学会認定)に紹介します。
  • 月経時の出血が多く貧血といわれている 子宮筋腫の場合があります。MRIで子宮筋腫の数、場所、大きさを正確に確認したうえで、月経を止めるホルモン治療で貧血を改善すると同時に子宮を小さくした後、手術を受けていただきます。
  • 更年期障害の治療効果がない 処方されている薬(漢方薬など)ではホットフラッシュやいらいら感が治らない場合、勤務先の人間関係、ご家族のことなどでいろいろな悩みを抱えておいでのことがあります。定期的な受診とともに、うつ状態あるいは自律神経失調症も考えられますので、メンタルクリニック脳神経内科にも紹介します。
  • 婦人科がん検診で2次検診の通知を受けた 子宮頸がん検診の後に精密検査の通知が来た場合、腟拡大鏡(コルポスコピー)と組織検査が必要です。子宮頸癌(初期癌)の場合、開腹による手術は日本婦人科腫瘍学会認定専門医のいる本院で行い、腹腔鏡による手術は日本産婦人科内視鏡学会認定専門医のいる総合病院に紹介します。
  • 婦人科がん治療後の経過観察を希望する 婦人科がんの治療を総合病院で受けた後、連携病院として経過観察を担当します。再発や治療の後遺症(リンパ浮腫など)のチェックのために、定期的な診察に加え、腫瘍マーカーを含めた血液検査や画像検査(エコーやCT)を行い、紹介元の病院と連携して経過を見ていきます。
  • 子宮頸癌の診断と治療が心配である 子宮頸癌(進行癌)と診断された後、癌の進み具合(進行期)や治療内容について心配されセカンドオピニオン外来を受診されることがあります。診察、病理組織診断と画像診断(MRIとCT)で進行期を決定し、専門医(日本婦人科腫瘍学会認定)のいる総合病院へ紹介します。
  • 卵巣癌/腹膜癌の追加治療が心配である 卵巣癌/腹膜癌(進行癌)の初回の手術を受けられた後、その後の治療に不安があるとのことでセカンドオピニオン外来を受診されることがあります。病気の進み具合や癌のタイプ(組織型)によって手術後に抗がん剤、分子標的療法や免疫療法などが必要であることを説明し、納得いただいた上で、本院や専門医(日本婦人科腫瘍学会認定)のいる総合病院で治療を行います。
  • 子宮体癌が再発した 子宮体癌(進行癌)が再発し、治療方針に悩んでセカンドオピニオン外来を受診されることがあります。子宮体癌では、免疫療法をはじめとした新しい治療が導入されています。病理組織診断を含めた再評価を行い、治療方針について説明し、最初の病院や本院、あるいは希望される病院に選択された治療を依頼します。
  • 外陰部のかゆみが続いている 長い間処方されている外用薬で治らない場合、外陰部が白色に変化し萎縮している外陰ジストロフィーのことがあります。外陰癌を発症することがあるので、定期的な受診や検査による診断が必要です。
  • 腟から塊が出て来て排尿に苦労している 入浴時に鶏卵大の塊が腟から出てくるようになり、尿も途切れ途切れですっきり出ないとのことで受診されることがあります。子宮脱膀胱瘤は高齢者に多く、受診せずに放置されていることがよくあります。本院で手術を行います。
  • HPVワクチンキャッチアップ接種について悩んでいる 国によるHPVワクチン接種の勧奨が控えられていた期間に、3回の接種を受けなかった学年の女性(誕生日が1997年4月2日から2006年4月1日まで)はキャッチアップ接種として、また誕生日が2006年4月2日から2007年4月1日までの女性も、2025年3月31日までは無料で接種を受けることができます。また、この年代の女性で、定期接種の時期を過ぎたため自費で既に接種を受けた方に対する接種費用の償還も行われています。

医師のご紹介

片渕 秀隆

くまもと森都総合病院特別顧問
熊本大学名誉教授(前産科婦人科学講座教授:2004年~2021年)
日本婦人科腫瘍学会監事(前理事長)
日本婦人科がん検診学会監事(前副理事長)
日本胎盤学会監事(前常任理事)
公益社団法人肥後医育振興会副理事長ほか
日本産科婦人科学会専門医・指導医
日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医・指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医ほか

女性相談外来の受診の流れ

  • 診察・相談時間
    30分から1時間
  • 診察予約日
    月曜日・火曜日・木曜日
    14:00~17:00(祝日を除く)
  • 予約方法
    • 当外来は予約制のため、あらかじめご予約が必要です。
    • 予約は、地域医療連携室にお電話ください。
      (℡ 096-364-6021)
    • 予約時に確認させていただくこと
      1. ① 相談者(患者さん)氏名・性別
        生年月日・住所・電話番号
      2. ② 相談内容(どのようなことでご相談されたいか)
    • 当外来の受診に紹介状は必要ございません
    • 診察予約時間の約30分前に来院いただき、看護師が問診させていただきます
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