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多遺伝子アッセイ(オンコタイプDX)とは?

乳がん手術の後、薬物療法を行う患者さんが多くいらっしゃいます。その理由は術後の再発を可能な限りなくすためです。
そのためにも個々の患者さんにとって最良の治療選択が望まれます。最良の治療方法とは「効果は高く、負担は少なく」ということでしょう。
具体的には、使用する薬剤の選択は5つのサブタイプにより決定されます。
> 薬剤療法~5つのサブタイプ

5つのサブタイプのうち、ルミナルAはホルモン療法単独、ルミナルBはホルモン療法+化学療法がおすすめの治療方法です。
ところが、ルミナルAとルミナルBは病理学的検査(腫瘍を顕微鏡で調べる検査のこと)では区別が難しい時があります。つまり、ホルモン療法単独で治療した方がよいのか、ホルモン療法+化学療法で治療した方が良いのか、判断が難しい時があるということです。
化学療法とはいわゆる抗がん剤のことです。ホルモン療法は比較的副作用が少ない治療方法ですが、抗がん剤治療はホルモン療法と比べるといろいろな副作用の心配があります。できれば化学療法は避けたいと考える患者さんが多いようです。

ルミナルA
ルミナルB

その時に有効なのがオンコタイプDX(OncotypeDX)という検査方法です。
手術で切除した腫瘍の一部を使って検査しますので患者さんのからだに負担はかかりません。その腫瘍サンプルから21個の遺伝子を検査して腫瘍のバイオロジーを調べます。その結果が化学療法を行った方がよいのかどうかの判断の助けになるというわけです。
検査の結果はRSスコア(再発スコア)として点数化されます。このRSスコアが高いほど化学療法が有効であることがわかっています。
一方、RSスコアが低値の場合は再発率が低く、化学療法の上乗せ効果が見られませんのでホルモン療法単独で十分な治療効果が期待できます。
しかし、中間値のときは抗がん剤治療の有用性の判断が難しいことがあります。
オンコタイプDXは初発乳がんの患者さんに行われる検査です。そのうち対象となるのは5つのサブタイプのうち、ルミナルA、または、ルミナルBタイプ(ホルモン受容体陽性、HER2陰性)で、リンパ節転移陰性もしくはリンパ節転移1~3個の浸潤性乳がんの患者さんです。その他のサブタイプの判定には使用できません。また、再発患者さんにも適用されません。

現在のところ、オンコタイプDXは保険収載されていない検査です。自費診療になりますので、担当医にご相談ください。